新着情報

≪宇佐美誠法≫誇りをもって、人に言えるといいですね

秘密を抱えて生きるって
とても大変なことです。

私はかつて風俗の会社を
経営していました。
これは秘密でも何でもありません。
(プロフィールに書いてるよ)

でもそこで働いていた女の子たち、
キャストと呼ぶんですけれど
彼女たちにとっては
その仕事こそが、秘密だったりします。

もちろん中には
大々的に公表しているキャストもいます。

一方でご家族に内緒、
友だちにも内緒で働いている
というキャストもたくさんいました。

ある日の相談事は、
お子さんには嘘をついて
キャストをしていた女性からでした。

彼女はシングルマザーで、
とにかくお金と時間の
両方が必要で
風俗という仕事を選んだのです。

保育園に預けないといけないぐらい
小さなお嬢さんとの二人暮らし。

自分の寝る時間も惜しんで
できるだけ出勤、待機をしていたので
そのおかげもあって、
そこそこの人気を得ていました。

お嬢さんが幼稚園に行くころ、
そして小学校の低学年の頃は
「お母さんの仕事」について
聞かれると嘘をついたそうです。

カフェで働いているんだよ、と。

以前カフェでアルバイトをしていたことで
その嘘に信ぴょう性を持たせることが
できたというのです。

けれどもお嬢さんが大きくなると
そのカフェについての興味が
どんどん大きくなり、
嘘が難しくなってきます。

彼女の嘘の仕事が、
カフェから事務職に変わりました。
お嬢さんにとって、未知の、かつ
興味のない世界です。

結婚前に、少しだけ
小さな会社の事務を手伝った記憶が
彼女にその嘘をつかせたのです。

そうしてごまかしつつ、
彼女は風俗の仕事を続けました。

少しでも稼いで、貯金をして、
将来に備えようとしていたのです。

ところが、お嬢さんも馬鹿ではない。

何となく母親の
仕事についての発言が
腑に落ちないときがある。

そうこうしているうちに、
お嬢さんも小学校の
高学年に差し掛かります。

思春期の始まりです。

お嬢さんが仕事を疑っていることを
肌で感じていた彼女は
とうとう引退を決意しました。

万が一、娘が知ったら
母を軽蔑するに違いない、
そういうことでした。

何か、少しでも
お金を多くいただける職場はないか。

それが相談でしたが
夜の世界から、完全に足を洗うとなると
金銭的な感覚はまるで違うので、
結構難しい。

今から一般企業への就職は
困難なうえに
給料が安いことを伝え、
職業訓練などの選択肢もあることを、
教えてあげました。

せめて手に職をつけたり、
特殊な免許を持っていたら
高給取りになれる可能性があります。

ただ、仕方ないのですが、
少し残念だったのは、
彼女の中ではずっと、
きっと永久に、風俗は軽蔑すべきもの
関わりたくないものだったのだな、
ということです。

お金のためだけに風俗で働くことも、
一つの手段としてあるのですけれど、
私は少しでも、
その仕事の一部分だけでも好きでいてほしい。
少しだけでも誇りに思ってほしい。

好きなことを仕事にできたらいいな、
この先幸せになってほしいな、と
実感したときでした。

≪宇佐美誠法≫

 >  ≪宇佐美誠法≫誇りをもって、人に言えるといいですね

ページトップへ